完全オンラインで登記申請ができるか?:不動産登記、法人登記

今日は、法務局への登記申請手続

なかでもオンライン申請の手続きについて書かせて頂きます。

 

現在、法務局に対する登記申請手続きは

オンラインによる申請が可能となっています。

当事務所でも、登記申請を行う際には、

不動産登記、法人登記いずれについても、

何らかの書面申請の方法によらなければならない理由がない限り、

(例えば、不動産登記で添付する登記原因証明情報のPDF化等が煩わしい等

 。。。。調停調書による場合とか)

オンラインによる方法で登記申請を行っております。

 

理由は簡単で、オンラインによる申請の方が

慣れてしまえば簡便だからであります。

(それ以外にも、実務的には

 申請事件の進捗状況が把握しやすい

 受付番号の確保が容易等ありますが、

 いずれもお客様にとっては、あまり関係ないですかね。。。

 以前は、オンライン申請による登録免許税の軽減なんてこともあったのですが。)

 

そこで、一般の方々であれば

「オンラインによる申請」だから全部データで送って

全部WEB上で完結するものだと、一般の方はイメージされると思います。

結論から申し上げますと、違います。

現在のオンライン申請の大半は、

申請のみオンラインで行い、申請の際に必要となる添付の情報は

(これが紙ベースでしかないのが現実)、

後で郵便や持参等の方法によって書面で提出するのです。

 

登記申請手続きを行うに際して、

法務局に対して提出する私文書には、

そのほとんどのものに印鑑を押印しなければなりません

(一時期偉い人が印鑑制度の廃止なんて言っておりましたが

 現実はそんなことはありません、

 印鑑押しまくりで、一箇所でも押印もれがあれば

 法務局からその一箇所へ印鑑を押しに来なさいと言われます)。

 

紙ではなく、PDFファイル等のデータに押印の替わりにあたる署名をするには、

電子署名という方法を用いることになります。

一般の方が、この電子署名を取得していることは稀であります。

法務局に対してオンラインで申請する際の申請データには

電子署名を付与しなければなりません。

司法書士には、司法書士としての電子署名制度があり

この電子署名を取得していれば、これで電子署名することになります。

 

電子署名にもさまざまなものがあります。

民間の会社さんが発行しているものも多数あります。

そして、法務局へのオンライン申請で使用可能な電子署名は

何でも良いわけではありません。

法務局の下記HPをご参考までにご覧くださいませ。

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/cautions/security/riyokano_syoumei.html

こういうのが苦手な方には、たまらない感じですよね。

つまり、ここに書いてある電子署名じゃないと

法務局へのオンライン申請手続では、

電子署名として使用できないということでございます。

 

本日、なぜこのようか記事を書きましたかと言いますと

先日ある会社さんから、今後議事録等はクラウド化することに決まりました。

今後の法人の登記手続きも完全オンラインでしたいとのご要望でした。

当該会社さんは、取締役等の役員の方々が相当数いらっしゃいます。

そこで、下記のようにご説明差し上げました。

そのためには、まずは法人さんの電子署名を法務局で取得して頂き、

議事録等に電子署名が必要な方々に、法務局指定の電子署名を取得して頂き、

法務局へ提出するデータに必要な方全員から電子署名をして頂き、

当方へデータを送っていただく必要がございます。。。。と。

まぁ、できないことはないですが、

今までの紙ベースでの方が明らかに楽ですよね。

慣れてしまえば、電子署名の方が楽なのかもしれませんが。

ということで、本年度は結局紙ベースによることになりました。

 

結論。

完全オンラインで登記申請することは理屈上は可能だが、

現実的にはハードルがまだまだ高い。

というのが、個人的な意見でございます。

 

どうしても、完全オンラインで登記申請をしたいという方は

一度ご相談下さいませ。