危うい遺言書及び遺言による不動産登記①:自筆証書遺言・遺言書検認・遺言執行者選任

皆様、こんにちは。

今回は、親族の方がお亡くなりになり、

その方が自筆で遺言書を残していた場合のお話をさせて下さい。

 

親族の方がお亡くなりになり相続が発生した場合、

遺言書があるケースは、未だ圧倒的に少数でございます。

しかし、なかには、このような遺言書が自宅から出てきましたと

発見した遺言書をお持ちになり、相談に来られるケースもあるわけです。

そして、今回は、その遺言書が公正証書ではなく、

自筆で書かれていたケース、自筆証書遺言についてのお話です。

 

上記のように、自宅などで亡くなられた方作成の

自筆証書遺言を自宅等で発見した場合には、

書かれている内容に関係なく、

まずは家庭裁判所で遺言書の「検認」という手続きを受けないといけません。

なので、まずはしないといけないこと

「1.管轄の家庭裁判所に遺言書検認の申し立てを行う」

この手続は、遺言書の形式的要件の充足を確認する手続きです。

「検認」を受けることによって、発見した自筆証書遺言は

形式的要件を充足しているということになります。

あくまで形式的要件ですので、それでもって

発見された自筆証書遺言が実質的要件も充足しており

完全に有効な遺言書であるとの、お墨付きが得られるわけではないので

お気をつけくださいませ。

遺言の有効無効につき、裁判等で争われる可能性があるということです。

これは、公正証書遺言であっても同様でございます。

ただし、公正証書であれば、作成過程に

公証人、証人等が関与していますから、

遺言書作成当時の遺言能力等の有無について

争うのは厳しくなってきます。

自筆証書であれば、そうではないわけですので。

 

続いて、今回の遺言書の内容は、「遺贈」を目的とするものでしたので、

遺贈を行うに際し、「遺言執行者」を選任した方が手続き的に

スムーズであろうことが見込まれましたので、

遺言書に「遺言執行者選任の記載」がなかったので、

遺言書検認の申出と同時に

「2.管轄の家庭裁判所に遺言執行者選任の申し立て」も同時に行いました。

遺言執行者がいないとなると、

後々遺言通り名義変更等を行う際に

遺言者の相続人全員の手続参加(実印の押印、印鑑証明書の徴求等々)

が必要となってくるからであります。

(※今般の法改正で、相続人である方への遺贈の際の手続きは

簡略化されましたが、相続人ではない方への遺贈の際は

上記同様でございます。

当事案は改正前の事案でございましたが、相続人ではない方への

遺贈でしたので、結局改正後であっても、同様でしたね。。。)

そのため、遺言書を作成する際には、

遺言書の内容や背景事情を考慮した上で

遺言執行者を定めるべきかどうかお決め頂いた方が良いかと思います。

 

上記、1及び2の前に、相続人の確定、遺産の調査等、

通常の「遺産整理業務」と同様の業務が必要となってくるのは、

遺言のあるなしに拘わらず同様でございます。

 

家庭裁判所へ「検認」の申し立てを行いますと、

相続人の方々へ検認期日の指定に伴う通知が発付され、

同期日に「遺言書」の検認が行われます。

要件を充足していれば、自筆証書遺言に検認済みの

記載のある裁判所作成の証書が合綴され、

検認済みの遺言書となり、不動産の名義変更等の

相続手続きを同遺言書に基づき申請することができるようになります。

なお、検認期日指定の発付を受けた相続人の方々が

同期日に裁判所にお越しにならなくても検認期日は開かれます。

 

遺言執行者についても、選任の審判がなされ、

選任審判書が裁判所から申立人及び執行者として選任された者宛に送付されます。

同審判書が遺言執行者の資格証明書となります。

各種関係機関に提示することによって、

遺言執行をスムーズに進めることができるようになります。

 

ここまででやっと、遺言に基づく不動産の名義変更をする

お膳立てがととのったということになります。

上記二つの家庭裁判所への申し立ては、

遺言書を公正証書で作成し、遺言書の中で遺言執行者を定めることによって

省略できますので、

遺言書を作成する際には、是非とも専門家に助言等を仰ぐ、

手続きを依頼する等して頂くことを強くオススメします。

のこされた相続人の方々に負担がかからないよう

ご助言頂けるかと思います。

 

今回のお話にはまだ続きがありまして、

この先まだ問題があったのです。

そして、その話は次回お役立ちコラムに記載いたします。

是非、お読み下さいませ。

そして、ここまで当コラムをお読み頂き

ありがとうございますm(_ _)m

 

PS

お役立ちコラムの更新がなかなかできず

申し訳ございません。

なかなかにやらないといけない事が多うございまして、

業務だけしていれば良いという訳にもいかず。。。。。

まぁ、でもありがたいことだと思い、

感謝しておる次第でございます。